「遠距離恋愛」OFFICIAL INTERVIEW

2021.04.30



RELEASE情報





OFFICIAL INTERVIEW

シンプルかつアコースティックな手触り、余計なものを削ぎ落とし、グッと歌にフォーカスした音像、
THE BEAT GARDENの楽曲では初の女性目線で綴られた繊細にしてリアルな歌詞。
2021年第一弾、4月26日に配信リリースされたバラード「遠距離恋愛」は
彼らにとって新たなトライがふんだんに詰め込まれた、実にエポックメイクな1曲とも言えるだろう。
会いたいのに会えないもどかしさや切なさは、コロナ禍の現状にも絶妙にリンクして聴き手の心に迫ってくる。
まん中にあるのは、離れていても気持ちは一緒でありたいという願い。
3月にはメンバーのSATORUが家族の介護のため、この8月をもってグループを脱退するという発表もなされたが、
そのタイミングで「遠距離恋愛」というタイトルの曲がリリースされることにも大きな意味合いを感じずにはいられない。
本インタビューでは新曲「遠距離恋愛」はもちろん、SATORUの脱退について、
また、5月15日よりスタートする約2年ぶりの全国ツアーであり、
この4人では最後のツアーとなる“The Beat Garden one man live tour 2021「Afterglow」”について、
さらには彼らが“Beemer”と親愛を込めて呼ぶファンへの想いも含めてとことん語ってもらった。


——これまた超ストレートなタイトルですね。

U:はい(笑)。歌詞を書き終わって、みんなで「タイトルは何がいいかな」って話し合ったんですよ。今、コロナ禍で会いたい人にもなかなか会えない状況じゃないですか。きっとカップルだけじゃなく、遠距離恋愛のような気持ちを感じている人がたくさんいるんだろうねっていう話になって。遠距離恋愛をテーマにしたラブソングであっても、それだけではない意味も同時に感じてもらえるんじゃないかなって思ったんです。あと、僕らをまだ知らない人たちにたくさん知ってもらう手段として、例えばYouTubeとかTikTokで“遠距離恋愛”って検索したときに僕らのこの曲が出てきたら純粋にうれしいなって。そういう2つの想いを込めて「遠距離恋愛」って直球のタイトルを付けました。


——配信シングルも今回で4作目となりますが、リリースを間近に控えた現在の心境はいかがですか(※このインタビューは4月23日に行なわれました)。

REI:こういった状況のなかでもコンスタントにリリースさせてもらえて本当にありがたいなって毎回思いますし、同時に新曲を出すたびに今まで以上にいいものが作れたという感覚が毎回あるんですけど、この「遠距離恋愛」も過去イチいいんじゃないかっていうくらい、本当にいい作品を作れたっていう手応えがすごく大きくて。とにかく早く届けたいです。

MASATO:今、Twitterシェアキャンペーンというのをやっていて、渋谷の街中に僕らのボードが設置されているんですよ。僕らが上京した当時、渋谷のボードを見上げて「いつか絶対ここに自分たちの看板を掲げるんだ」って信じて心に誓ったことが、それから10年近くかけてやっと、まだ少しですけど叶って。そういう意味ではアニバーサリーな1曲になりましたし、さらにもっともっと全国的に展開できるようになりたいっていう新たな目標も生まれました。きっとBeemerのみんなもボードをワクワクしながら見てくれてると思うし、ホント早く聴いてほしい気持ちでいっぱいですね、今は。

SATORU:Aメロ、Bメロのシンプルでアコースティックな曲調とか、落ちサビのMASATOくんのパートとか、聴きどころが盛りだくさんですし、いろんな意味でみんなの度肝を抜くことができる曲になったんじゃないかなと思ってます。


——まさに新鮮な驚きがありました。ラブソングでここまでシンプルに削ぎ落としたバラードは今までになかったんじゃないでしょうか。

U:そうですね。サウンドも打ち込みがメインではなくて生楽器を使っていたりとか……。

REI:ここまでアコースティックにしたのって、THE BEAT GARDENでいうと「みんなへ」ぐらいなんですよ。今まではいい意味でTHE BEAT GARDENらしさみたいなものをトラックのなかに落とし込もうとしていたんですけど、今回はそういうものを敢えて除外した、よりシンプルでアコースティックな音像が合うんじゃないかなって。それはMASATOさんのデモを聴いたときに思いましたね。そこにUさんの歌詞が乗ってきて、言葉をより伝えられる方法はなんだろうなって考えていくなかでアコースティックなイメージに着地したので、アレンジャーの田中隼人さんにもそうお伝えして。


——MASATOさんは曲を作っている段階からアコースティックな曲調をイメージされていたんですか。

MASATO:いや、全然でした。もともとのデモは普通にアコースティックギターをジャカジャカで弾いてるくらいのもので、どういうトラックが合うのかなってみんなに相談していたくらいですからね。でも結果としてすごくハマったので、よかったです。


——ホント潔いくらいシンプルな音像ですよね。そのぶん歌の比重がグッと大きくなるわけですが、それって怖くはなかったのでしょうか。それこそ、今まで以上に歌がすべてと言っても過言じゃないというか。

U:そういう意味で言うと今回は僕ら、初めてMVに出てないんですよ。そう決断できたのは僕らがちゃんと等身大で、自分たちの音楽というものを人の心に届けることができるようになったんじゃないかって、心の底からチーム全体が思えたからで。それぐらい「遠距離恋愛」は曲としてたくさんの人に届く……誰かの大事な1曲になったり、この曲に出会ってTHE BEAT GARDENを好きになってくれる人がいたりするって信じられる自分たちが今いるんですよね。ちゃんと音楽を音楽として届けていけるグループになれた、その1作目みたいな気持ちなんです。……どう?

REI:僕だけじゃなく、きっとメンバーみんなそうだと思うんですけど、いい意味で僕ら、この曲で格好をつけなくなったというか。歌にしても上手く歌おうとするより、言葉の意味を伝える、曲に込めた感情をしっかり届ける、みたいなところに今回は重きを置いたので……なんて言うのかな、どうでもよくなった……?

一同:(爆笑)

U:ま、すごいシンプルに言えば、ね(笑)。要はビジュアルとか、そういうことじゃないっていう。ありのままで、みたいな。

REI:そうですね、“ありのまま”がいちばん近いかも。ありのままの自分たちを、着飾らずに等身大で見せられるようになったっていうのが自分としては大きいかもしれないです。あと、「遠距離恋愛」が出来上がったときに「この曲ならいける」っていう自信が持てたので。


——先行公開されているメイキング映像も拝見しましたが、そのなかで、最初から遠距離恋愛をテーマに曲を作ろうとしてたわけではなかったとMASATOさんがおっしゃっていて。どういう流れで今の形にたどり着いたんでしょうか。

MASATO:そもそもはバラードを作ろうというのが全体的なテーマとしてあったんですよ。で、みんなが持ち寄った曲のコンペがあって。いろんなバラードが揃ったなかで、いちばんタイミングやイメージに沿っていたのがたまたま僕の作ったものだったっていう。

U:リリースが4〜6月あたりだと聞いていたんですよね。去年6月にも「光」という曲を出させてもらっていますけど、それぐらいの時期って新生活を迎えるシーズンだし、それがきっかけで遠く離れてしまう人もいるんだろうなと思って。一方で今のコロナ禍という状況、僕ら自身、Beemerに会えない日々を過ごしているなかで、離れていても大切な存在に思いを馳せて曲を作れたらなってぼんやり考えていたんですよ。そんなときにMASATOのメロディを聴いてしっくりきたというか……今、曲に想いを込めるとしたら、会いたいときに会えない人たちに贈る歌、遠距離恋愛をテーマにしたラブソングがいいんじゃない?って思って。でもMASATOも、遠距離恋愛っていうテーマではないけど“願い”みたいなものをイメージしてメロディを作ってたんだよね?

MASATO:はい。ただただハッピーなふたりのラブソングではなく、ハッピーななかにもお互いの片想いな部分があったり、だからこそ相手に言えないような願い、本当はこうだったらいいのにって相手を想いながら願っていることが、ちゃんと届けばいいな、みたいな。そういうラブソングをイメージして作っていたんです。この「遠距離恋愛」は僕がイメージしていたのとは形は違うけど、同じテイストの願いや想いがこもっていて「ああしっかりテーマに沿ってたんだな」って作り終えてから思えたというか。点が線になったっていう感覚がありました。


——MASATOさんがメロディを作りながら込めていた想いが、Uさんの言葉を引き出したところもあるかもしれませんね。

U:めちゃくちゃありましたね、今回。この歌詞を書く前に初めて小説みたいなものを書いたんですよ。そんなにディティールは細かくないですけど……あんまりお金を持っていないふたりがいて、彼のほうが都会に出て仕事が上手くいき始めて、とか。歌詞に“腕時計”というワードが出てきますけど、ふたりの生活感とか、そういう設定をいろいろ考えて、それから箇条書きでポエムみたいなものを書いていきながら曲にハマるところははめて、みたいにして作っていって。そのときもずっとMASATOのメロディを聴きながら書いていたんですよ。だからきっとMASATOがイメージしていたふたりの、言いたいけど言えないもどかしさや切なさ、でもお互い相手を想っている愛情だったり、そういうのをメロディから感じて書いていたんじゃないかなって。


——ところで歌詞を女性目線で書こうという発想はどこから?

U:最初はいつも通り男性目線で書いていたんですよ。1番のBメロも“どうせ君だって他の知らない男と”みたいな感じで。でも、なんだか違和感を感じたというか、思ってる以上に女々しくなっていったんですよね、歌詞が。それ自体は別に悪いことじゃないんですけど、ステージでこの言葉を歌うって想像したときに、ちょっと素直に歌えなさそうな気がして。じゃあ一回、女性側の気持ちで書いてみようと思ってやってみたら、すごくしっくりきたんです。


——たしかに同じ内容でも女性目線だとどこか軽やかな印象になる気がします。男性であるUさんが女性の気持ちをどうやって想像していったのか、すごく興味深いですけど。

U:でも女の子の気持ちになったわけではないんです。別に女心を書こうとは思ってなくて、むしろ男が持っている女々しさの部分って、女性もきっと共感してくれるんじゃないかなとか、そういう気持ちで書いていたというか。もちろん人によって違いはあると思うんですけど、そのへんは意外と男女ともそんなに差はないのかなって。


——女性だから、男性だから、ではなく、おそらくみんなが思うだろう気持ちを視点を変えて書いてみた。

U:そうです、そうです。


——でも聴く側としてはやっぱり新鮮でしたけどね。今までになかった扉が開かれたような感覚があって。

U:あ、ホントですか。でも、たしかにそういう部分はあるかもしれないです。この間、TBSの『PLAYLIST』という番組の収録で、「遠距離恋愛」を歌わせてもらったんですけど、そのときも……やっぱり自分は男性だから女性言葉で歌うときに限っては自分そのままではいられないというか、違うスイッチが入るんでしょうね。THE BEAT GARDENとしてどうこうっていう以上に、この歌をちゃんと歌うということ自体に集中しているから、4人がよりひとつになった感じがあったんですよ。だからなのか、歌ったあとに、収録の現場で初めて拍手が起こったんです。『PLAYLIST』さんにはいつもお世話になっているし、スタッフさんとも毎回お会いしてるのに、みなさん「別のグループみたいで、めちゃくちゃよかった」って言ってくださって。


——へぇ!

U:今までどうだったんだろう?って想いもありつつ(笑)、きっと、これまでのライブ感全開のパフォーマンスとはとはまた違う印象を持ってもらえたのかな、と。僕ら自身も、自分たちが自分たちじゃないみたいな、何かが憑依してるような感じだったよね? あのときは。

一同:(頷く)

U:歌っているときの空気感は自分たちにとっても初めてだったと言うか、「あ、届いてる」っていう感覚があったんですよ。「届くときってこういう感じなのか」みたいな。女性目線の歌詞だからそういうスイッチが入ったのかはわからないですけど、僕ら的にはまた違う感情移入ができた初めての曲でしたね。


——すごく大きな体験でしたね、それは。ちなみにMASATOさん、REIさんは女性目線の歌詞を歌うことに対してどんな気持ちで臨んでいらっしゃったんでしょう。

MASATO:レコーディングのとき、僕はどっちかっていうと女性の気持ちで歌ってる感覚がありましたね。THE BEAT GARDENとしては初めてですけど、もともと女子目線で歌ってる曲が好きなんです、僕。ただ、遠距離恋愛というものとか、コロナでなかなか会えないこの状況とか、そういうものを代弁することにちょっと慎重だったというか、だからこそ逆に上手く歌ってはいけない、みたいな感覚が少し自分のなかにはあって。自分が担当したパートはフレーズごとに感情の起伏が激しいので、技術的に上手く歌うというよりは、歌詞の感情をそのままいちばん伝えやすい方法で挑んでいこうって。


——MASATOさんの落ちサビがまたすごくいいですよね。微かなビブラートとか、いつも以上にハイトーンな声色とか、繊細な女心が反映されていて。そのへん、意識されていたんですか。

MASATO:無意識にしていたかもしれないです。僕が落ちサビを歌うのも今回が初ですし、今まで以上にシンプルなトラックのなかでの歌だったので。曲中でストーリーが展開されていくなか、彼女のなかにある“好き”がどんどん本音として現われてくる、その起伏の強さが叫びとなって現われたらいいなって思ったので、どうやったらそういう表現ができるか、みんなにディレクションしてもらいながら歌いました。

REI:僕は女性目線になったりはしてないんですけど……逆に過去の恋愛とか、歌詞を見たときに思い出したりして。「あのとき面倒くさがらずにこうしてあげればよかったな」とか、そういう気持ちにはなりました(笑)。なので、これを聴いてくれる男性の方は……。

U:教訓にしてね、って?(笑)


——あはははは! 個人的にはREIさんが担当した1番のBメロ、最後の“ねえ”にグッときました。

REI:うわ、うれしい!

U:いいよね、ここ。俺も好きです。


——このニュアンスは男性の気持ちのままでは出てこないんじゃないかなって思うくらい、絶妙な“ねえ”で。

REI:そういう部分もあったかもしれないですね。最近はより歌詞に込められた気持ちをUさんに確認するようにしているんですよ。「このときの主人公はこういう気持ちじゃないですか?」とか一つひとつの感情を言葉のどこに落とし込むか、なんとなく自分のなかで決めていったりしていて。今回の歌詞は鍵カッコが多いイメージだったので、実際に話しているように歌うとか、そういうのも細かく相談しつつ、レコーディングに向き合えたのは大きいかもしれない。

U:今回、REIが僕にまず聞いてくれたのは「この女の人は相手にほっとかれているのかどうか」っていう。それに対して僕は「彼女は気づいていないけど、男の人も本当は彼女を想っていて。ただ彼は忙しいだけなんだよね」って説明して。女性についても自分のことを構ってくれないって思っているだけじゃなく、彼氏が向こうで頑張ってくれているのはうれしいっていう気持ちはちゃんとあるから、それを心に留めつつ歌ってほしいっていうことをREIにもみんなにも伝えました。僕が思ってることと、一人ひとりの自分なりの表現と、その両方をちゃんと形にしてくれるっていう信頼はもうすでにありましたし、今回もばっちりでしたね。


——それにしても描写が見事で。実際に遠距離恋愛を経験されたりしたのでしょうか。

U:経験はあるんですけど、その相手とは僕、離れてから2回しか会えなかったんですよ。まだ全然若い頃だったので、そこまで恋愛に対して自分が育ってなかったというか、友達と遊んでいるほうが楽しいくらいだったんですよね。だから、この曲にはまったくと言っていいほど反映されていなくて(笑)。これに関してはホント、MASATOのメロディに呼ばれたものと、Beemerっていう存在を思い浮かべたときの気持ちが大きいです。


——“あなたの今の毎日が/思うように進まなくなってしまえば/もう少しわたしを思い出すかな”とか、ものすごくリアルじゃないですか。こんな生々しい感情をえぐり出したようなフレーズ、よく出てきましたね。

U:よく出てきてくれたって僕も思いました(笑)。最初は全然違ったんですよ。なんて書いてたっけな……(と、スマホを取り出す)。そうそう、“「おやすみ」って切り出すのは/いつも決まってわたしが先なのは/あなたが少しでも「さみしいな」って眠ってほしいなんて/ずるいな”みたいな、それこそ“遠距離恋愛のふたり”をベースに歌詞を書いていて。ただ、ちょうどその頃、BeemerからたくさんDMが送られてきていたんですよね。他のアーティストさんのライブが始まっていることとか、「THE BEAT GARDENには本当に会いたいけど、○○のライブが楽しかった」っていう報告とか。それを見て「みんな、この生活にもだいぶ慣れたのかな、幸せそうだな」ってちょっとモヤモヤした気持ちにもなったりして。そういうのが続いたときに、今の歌詞が出てきてくれたんです。


——ということは、これはUさんの本音?

U:めちゃめちゃ本音ですね。でも、これが出てきてくれたときに「あ、大丈夫だな。この曲を本当に心を込めて歌えるな」って確信に変わったので。


——本当にBeemerが大きな存在なんですね。

U:大きいです。チームでよく話すんですけど、本当にファンの方たちには一緒に歩んでもらってるっていう実感があるんですよ。僕らの人となりも、音楽も、両方好きでいてくれて、大切にしてくれているのを本当に感じていますし。だから売れないとなって思いますよね。


——そのときがどんどん近づいているなと感じます。そうしたなか、SATORUさんが8月をもってTHE BEAT GARDENを脱退することが発表されました。

U:Beemerのみんなには急な発表になってしまいましたけど、これまでSATORUが育ててくれたTHE BEAT GARDENはこれからも育っていきますし、絶対に東京ドームまで行くって決めているので。これから音楽ジャンルも人生もいろんなものを受け入れて、より人間らしく、どんなことも楽しんで鳴らしていける自信がありますし、これからTHE BEAT GARDENを知ってくださる人にも、今まで好きでいてくれた人にも喜んでもらえるグループとして進んでいけるってメンバー全員、すごく前向きな気持ちでいるんですよ、今。


——とはいえ、やはりSATORUさんにとってもグループにとっても相当大きな決断だったことは間違いないですよね。

SATORU:はい。去年1月に開催した新木場STUDIO COASTでのワンマンライブのあとぐらいから、もともとよくはなかった家族の病状がより悪くなっていって。家族のことはそれまでにも逐一メンバーには話していたんですけど、状況がよりリアルになってきて、最終的にはTHE BEAT GARDENを一旦卒業させてもらって、家族の近くにいさせてもらいたいと伝えたんです。

REI:チームで何度も何度も話し合って、どうにかいい方向はないかと毎日毎日みんなで考えて、SATORUさんの正直な気持ちもいろいろ聞いた上での決断なので。

U:本当にたくさん話し合ったよね。コロナ禍ということもあって、1年かけてホントにいろいろ話すことができたんですよ。僕らなりにちゃんとお互いを応援し合える、ステージには一緒にいないけど、これからも仲間としていられる、そういう次の関係を築く時間がこの1年間だったとも思っていて。配信ライブが終わったあととか、友達として仲間として「本当にやめる? オマエ」ってフランクに聞けたし、SATORUも「いやぁ、やめたくないっすねぇ」って普通に言ってくれたり、それでもどうにもならない事情っていうのはやっぱりあるから。ただ、それをみんなに発表するまでは苦しかったよね。SATORUがホントにしんどそうで。


——インタビューで次の予定を聞かれたりもしますしね。

SATORU:そこがいちばん心苦しかったです。インスタライブとかやっていても嘘をつく形になる言葉が出ちゃう可能性があるし、それが僕、いちばんイヤだったんですよね。発表したことですっきりしたわけじゃないですけど、Beemerのみんなも受け入れてくれて……もちろん本当のところはわからないですけど、温かく最後までちゃんと見守ってくれようとしているのをすごく感じますし、今までと変わらず、これからもTHE BEAT GARDENと一緒に歩んでくれるだろうなって思わせてもらえたのは本当にうれしいし、ありがたかったですね。これからは僕もBeemerになるので、改めてよろしくお願いしますっていう気持ちです。

U:まだツアーとか全然あるけど(笑)。

SATORU:まだ早いか(笑)。


——こんなことを聞くのは恐縮なのですが……例えばSATORUさんだけ活動休止という形で、いつか戻ってくるというふうにもできたんじゃないかとも思うんです。でも、それはしたくなかった、ちゃんとけじめをつけたかったということなのでしょうか。

SATORU:僕はTHE BEAT GARDENに入るまで音楽をやった経験もなく、スタートしたわけですけど。最初は友達感覚でやっていたんですよ。3人ともみんな面白いことするし、バカみたいにふざけるし、でも音楽になったときだけスイッチが入って。今では毎日、めちゃくちゃスイッチが入ってる状態なんですよね。そういうなかで僕が一回、お休みという形を取ったとして、戻ったときに……もちろん受け入れてくれると思うんですけど、僕自身が3人のそのモチベーションとパワーについていけるかわからないなって。どれぐらい待たせるかっていうのも約束ができないですし。そういうのが僕は怖かったので、しっかりけじめをつけるべきだな、と。


——どこまでも誠実ですね、SATORUさん。

SATORU:そうなんですよ(笑)。今のところ、太字にしといてください!

U:台無しだよ、もう(笑)。


——卒業しても、きっとこの関係性はなくならないんだろうなって今、見ていて思いました(笑)。

REI:そうなんですよ。THE BEAT GARDENじゃなくなっても、この関係は変わらないですし、卒業したからもう会わないとか、そういうことではまったくないですし。

MASATO:寂しいは寂しいですけどね、本当に。でもシンプルにSATORUの幸せを考えたときに、その気持ちを全うさせてあげたかったし、僕もSATORUと同い年なので家族に対する立場とかもわかるので。だから今はもうSATORUの幸せを願うだけ。Uさんも言った通り、気持ちは前向きに切り替わっていて、SATORUと一緒にツアーができることもすごくよかったなって思うし、あとはBeemerのみんなとしっかり気持ちの交換をできたらいいなって。

U:MCとか音楽以外の部分でもきっと溢れる気持ちはたくさんあると思うので、それはお互いに隠さず、解放したいし、解放してほしいです。8月までの期間、4人でちゃんと本音を届けていきますので。そういった意味でもすごく楽しみですね。ひとつ言っておくと、今回のツアーでは今までに聴いたことのない形でお披露目できる曲もありますので。


——おお!

U:REIが何曲かライブ用にリアレンジしてくれているんですよ。SATORUも今までにないくらいたくさん意見をくれて、ね?

SATORU:本気出しました!

一同:(爆笑)

REI:“Roots”を経て、リアレンジによって曲ってこんなにも変わるんだな、ライブもまた全然違った色で見せられるんだなって、やってよかったと思うことがいっぱいあったんですよ。しかも今回は「この曲はこうしたい」っていう確固としたイメージがSATORUさんのなかにあって、それを形にしていけたのですごく楽しかったです。

U:今、絶賛リハーサル中なんですけど、SATORUがめっちゃうれしそうでね。俺が作ったばりのドヤ顔をしていて(笑)。でも本当にいいので、期待していてほしいです。


——8月4日には2年ぶりに3rdアルバムのリリースも決定、ツアーと並行してリリイベも各地で開催されるとのことで。

U:そうなんです。ライブの翌日に各地で特典会をさせていただくことになりましたので、ライブに来られない人ともそこで会えたらうれしいです。僕らもライブのオマケとかCDのオマケの特典会っていう考え方はしていないので、ぜひ楽しみにしてください!

取材・文=本間夕子