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「愛」や「恋」は本当に様々だと思います。
それに気づく瞬間は良い時ばかりではなくて、むしろ苦しかったり、めんどくさかったりする時なのかなと感じました。
痛いほど大切だと気づいてしまう、一人では触れられないプレゼントのような気持ちを歌にしました。

THE BEAT GARDEN

主演の福士蒼汰さんよりコメントをいただきました。

実は先日、THE BEAT GARDEN さんの LIVE にお伺いし、エネルギーを肌で感じました。
今回の主題歌「present」も力強さともがきを感じ、 アラサー男女の恋を描く今作にぴったりだと思います。
皆様も楽しみにお待ちください!

福士蒼汰

Movie

Interview

今まで知らなかった愛という感情に初めて出会い、その大切さに目覚めていく。
2024年の第一弾としてTHE BEAT GARDENが挑んだのは、そんな王道にしてストレートなラブソングだ。
現在放映中のドラマ『アイのない恋人たち』主題歌としてすっかり耳を奪われてしまった方も多いだろう新曲「present」が2月11日、ついに配信リリースされた。
彼らにとってもまたひとつ、大きなチャレンジとなった今作を3人の言葉でたっぷりとお届けしたい。
4月には初のZeppワンマン公演“THE BEAT GARDEN one man live at Zepp DiverCityTOKYO 「good error」”も控えたTHE BEAT GARDENの今のいい空気を感じてもらえたなら嬉しい。

今、強く思っているのは、自分たちがちゃんと王道を鳴らせる存在でありたいということ(U)

ドラマ『アイのない恋人たち』の主題歌として書き下ろされた新曲「present」ですが、みなさんのもとにお話が来たのはいつ頃だったんですか。
U:去年の8月末頃かな?ツアーの最中でした。「来年放送の福士蒼汰さん主演ドラマに書き下ろしのオファーが来ました!ラブストーリーです!」って。すごく嬉しかったです。
ご先方からは何かオーダーも?
U:脚本家の遊川和彦さんから、王道のストレートなラブソングを作ってほしいというリクエストをいただいたんです。それが9月の半ば頃で、そこからツアーと並行して、何曲か候補の曲作りを進めていきました。
THE BEAT GARDENもたくさんラブソングは作ってこられていますけど、こういう王道感って実はありそうでなかったですよね。おそらくですが、みなさんにとってもこれは大きなチャレンジだという気持ちで臨まれていたのではないですか。
U:まさにその通りです。もっとテンポの遅い曲や、逆にミディアムアップみたいなバラードは作っていたんですけど、この感じは今までにないもので。しかも遊川さんがお聴きになるんだって思ったら、もう頭なんて動かないですよ(笑)。テーマが“愛(アイ)”だったのも、逆に難しくて……向かい合ったことのない不安がありましたけど、絶対いいものを作ろうって、まずメロディから作っていったんです。そのなかで今回、僕らと何度も曲を作ってくれている上村昌弥くんの曲をドラマ制作サイドの方たちが選んでくださって、「present」が生まれたんですよね。
上村さんは、MASATOさんとの共作曲「横顔」「スタートボタン」やTHE BEAT GARDENとの共作した「ラブレター」など、ファンにも馴染み深い作家さんですよね。
U:はい。コンペ形式で曲を作るときには基本、昌弥くんにも参加してもらうっていうスタンスが、僕らのなかにできているんですよ。彼の作るメロディは素晴らしいですし、THE BEAT GARDENとは本当に付き合いの長い、もはや親友みたいな存在で。もともと表舞台に立っていたけど、いろいろな事情で諦めざるを得なかった背景が彼にはあって、だからこそ力を貸してほしいし、昌弥くんさえ良ければ僕らと一緒に夢を叶えてほしいっていう気持ちもすごくあるんです。今回も曲作りの最初の過程から昌弥くんと一緒に歩んでいたので、他人の曲が選ばれた感覚じゃないっていうか。脚本が届いて、どんなドラマなのかも見えてくるなかで昌弥くんのメロディは本当にぴったりだなって僕らも思っていたので。
上村さんの作るメロディに全幅の信頼を置いていらっしゃるんですね。
U:めちゃくちゃ信頼してます!
MASATO:今回も昌弥くんらしいメロディだし、上手いなと思いましたし、すごく好きですね。昌弥くんがTHE BEAT GARDENに作ってくれる曲って、3人で歌ったときのイメージとか、こういう化学反応が起こってほしいっていう前提が彼の頭のなかにある気がするんですよ。なので他の人に提供する曲とはまた全然違うのが印象的で。3ボーカルで歌う意味のある掛け合いとか、いろんな挑戦も込みで考えてくれますし、共作するときも僕が持っていくメロディのクセをすごく汲み取ってくれるんですよね。そのうえでハッとするような発想がある人だから、すごく勉強になるんです。
REI:今、僕たちが追求している“いい曲”“いいメロディ”っていうものをちゃんと掴んで表現してくれるんですよね、昌弥くんは。今回も、シンプルだけど、温かみがあって、心に届くメロディで……ホント素直にいい曲だなって最初にデモを聴かせてもらったときから思いましたし。今回、曲が決まってから、アレンジャーさんも何人かの方に声を掛けさせていただいてコンペをさせてもらったんですけど、橋本幸太さんが作ってくださったイントロを聴いたときにすごくイメージが膨らんだんですよ。この「present」という曲がドラマと重なったときにきっといい化学反応が起きるって思えたというか。そういったところも含めて昌弥くんの曲でよかったなって思います、本当に。
アレンジャーの橋本さんとご一緒されるのは初めてですよね。
U:そうなんですよ。でも、すごくハマりました。こんなに繊細なイントロを作る人だとは思えないくらい、超陽キャな方で(笑)。僕らの事務所の先輩であるUruさんの楽曲を手掛けたりもされていて、その関係で紹介していただいたんですけど、そのときに「THE BEAT GARDENとは絶対合うよ、人間性が」って言われていたんですよ。本当だったなと思って。
REI:めちゃくちゃ面白い方でした。
U:なのに音にはすごく繊細だし、いいアドバイスもたくさんくださるし、さすがでしたね。これからもぜひご一緒したいなって思いました。
今回はメロディもそうですけど、サウンドアレンジもとことんシンプルに徹していますよね。必要最低限の音で最上級の聴き心地を追求した、まさにシンプルイズベストな作品だな、と。
U:よく聴けば、意外とサビにはヒップホップのビートが入っていたりもするんですけどね。でも、そういう自分たちのエゴみたいなものは後回しというか、とにかくストレートで王道なラブソングをしっかり作りたかったので。
3人が思う王道のラブソングってどんなものなんでしょうか。
U:歌謡曲ですね、僕は。サザンオールスターズの「いとしのエリー」とか「真夏の果実」もそうだし、Mr.Childrenの「しるし」、DREAMS COME TRUEの「未来予想図」、中島みゆきさんの「糸」……僕はもうトラックが何であれ、歌謡曲として成立する美しいメロディと強いサビを持ったラブソングが王道だと思ってます。
MASATO:高度なテクニックとか斬新な手法うんぬんが前に出てこなくても、とにかく理屈抜きに心が震えますよね、そういう曲って。もっと感覚的なところで“いいものはいい”って言われる曲。ちゃんと歌い継がれますし。
REI:カラオケで歌いたくなる曲とかまさにそう。メロディの強さと素直に響く歌詞に日本人は惹かれると思うんですよ。
「present」もそういう曲ですよね、聴いていくうちに気づけば口ずさんでいるような。そういう音楽をTHE BEAT GARDENが作る、あるいは表現するということについて、何か思うところとかあったりしますか。
U:今、強く思っているのは、自分たちがちゃんとそういうものを鳴らせる人でありたいっていうことですね。どんな名曲を作ったとしても、それを名曲として鳴らせなかったら意味がないじゃないですか。そのためにも、生き方とか考え方とか、THE BEAT GARDENであることに対しての自負とか、そういうところでブレずに歩んでいくことが大事だよなって思うんです。そうしたらいつか、もしかしたらTHE BEAT GARDENも王道を鳴らせる存在になれるんじゃないかなって。極端な話、聴く人の琴線に触れられるアーティストってどんな歌を歌っても触れられると思うんですよ。例えば誰かのカバーだったり、自分が作った曲じゃなかったとしても、その人が歌えばその人の曲になるというか。ちゃんと鳴らせるかどうかは自分たち次第だと思うし、だからこそもっと追求していかなきゃなって。

得意不得意もそれぞれ違って、お互いに補い合える。つくづく、この3人でひとつなんだなって(REI)

歌詞についても聞かせてください。ドラマ主題歌として、Uさんはどこにフォーカスしてこの歌詞を書かれたんですか。
U:脚本を5話までいただいて、それを読んでから書き始めたんですけど、最初は主演の福士蒼汰さん演じる久米真和と、岡崎紗絵さん演じる今村絵里加のラブソングを書いていたんですよ。1番を書き終えた段階でドラマ制作サイドにお渡しするという流れがあって、そのときに遊川さんから「“僕”という言葉を使わないでほしい」っていう要望をいただいたんです。「すごく素敵な曲だけど、“僕”という言葉がないバージョンは書けますか?」って。
それはどうしてでしょう。
U:このドラマはラブストーリーですけど、同時に登場人物7人の群像劇でもあるんですよね。なので、できれば全員に寄り添うような曲にしてほしい、と。僕自身、最初に書いたものには違和感はなかったけど、どこか腑に落ちない感覚が残っていたので、遊川さんのご要望を聞いて「それだ!」みたいな。そうか、この曲は一人称を断定しないほうがいいんだなって気づかされて、そこからむしろペンは動きましたね。
そのほうが書きやすかった?
U:今回はそうでした。脚本を読んだときに本当に面白かったんですよ。だからこそドラマのどこで流れてもいいように書きたいと思っていたのに、最初は主人公とその相手の2人にフォーカスしてしまって、自分でも無意識に「これでいいのかな?」と思っていたんでしょうね。遊川さんのおかげで気づくことができたし、この7人それぞれに思いっきり捧げる曲にしていいんだなって覚悟をもらえた感じでした。曲として仕上げていくなかで、もちろん聴いてくれる一人ひとりの気持ちに寄り添いたいという感情も生まれましたけど、歌詞を書いているときは7人のためのラブソングにするつもりで書いてましたね。
お2人はこの歌詞を読んでどう感じました?
REI:遊川さんのリクエストにしっかり応えた、まさにストレートなラブソングですよね。僕もすごくイメージしやすかったですし、言葉選びはわかりやすいけど、ちゃんとUさん節もありますし。最後は“君が好き”で終わるのも、普段のTHE BEAT GARDENにはあまりないですけど、ここではちゃんと使うんだな、とか……きっと、いろんなことを試行錯誤したと思うんですけど、今回も素敵な歌詞を書いてくれたなって。
MASATO:僕は、脚本を読んだときに感じた「これをメロディに落とし込みたい」っていう気持ちと似たような感情になりました。曲を作っているとどうしても煮詰まるというか、1周2周するうちにどこかに最初に感じた気持ちを置き去りにしてきちゃうことがあるんですけど、Uさんの歌詞を読んだときにそれがバッと蘇る感覚があったんですよね。Uさんのおかげで「そうでした、この感情でした」って答え合わせができた気がして。Uさんはまだわからないって言いましたけど、僕はもうこれが正解だと思ってますね。
なかでも共感する箇所とかありますか。
REI:2番のサビの“拗ねたって裏返して 離れるほど結ばれて”かな。まさに恋愛っていうか、人を好きになるってこういうことなんだろうなって、初めて読んだときに僕はグッときましたね。「Uさん、やるな〜」って。
U:おお、嬉しい(笑)。
MASATO:僕はブリッジの歌詞が大好きで。別にわざわざ苦しむ必要なんてないのに、それでも愛さずにいられない。それって曲を生むのにも似てるなって思うんですよ。味わわなくたって別に構わない苦しみだけど、苦しみに向き合ったぶんだけ曲への想いも増すし、喜びも、以降の大切さも全然変わるんですよね。苦しむ必要はないはずなのに、なんでそっちを選んじゃうんだろうね?っていうところでめちゃくちゃ共感できるよなって。
ちなみにUさんはご自身の感情とか経験を歌詞に反映させたりもしていらっしゃるんですか。
U:過去イチしてるんじゃないですかね。反映させようとも思わないくらい僕というものが出てる気がします。僕、たぶんすごく冷めてる部分があるんですよ。それは人からも言われるし、自分でも思っているんですけど。
それは意外です。
U:いや、基本的には熱いんです、きっと。壁とか関係なしに土足で入り込むタイプだからこそ(笑)、人の冷たさを知る瞬間も多々あるというか、関われば関わるほどそういう場面も増える気がして。ドラマの登場人物たちも“愛”がなかったり、“I(アイ=自分)”がなかったり、“EYE(アイ=見る目)がなかったりしてますけど、僕も関わろうと思えば思うほど相手が見えなくなったり応えてくれなくなったりするから、嫌になってしまうことがすっごくあるし、冷めていないと自分がつらくなっちゃうんですよね。実は友達もメンバーのなかでいちばん少ないですし(笑)。でも、その数少ない人たちが僕にこういう感情を教えてくれて、数少ないからこそ、すごく大切なことだともわかったし、やっと辿り着けたっていう気持ちが自分でもあって……本当に等身大です、この歌詞は。なのでドラマの7人の気持ちもめちゃめちゃわかるんですよ。むしろ共感しかない。
“急いで慣れたふりでやり過ごす毎日が/余計にタフに育ったハートが”とか、そんなUさんだからこそ書けたフレーズかもしれませんね。
U:そう思います。自分のなかに解けないくらいカッチカチになってる部分があって、それはMASATO、REIと一緒にいると特に感じるんですよ。僕はきっと3人のなかでダントツに我は強いけど、1人で立っていられる強さっていうのは実はこの2人のほうが持っている気がするというか、MASATOもREIも繊細そうでいて、実は僕のほうがめちゃくちゃ脆いんじゃないかなって。しかも誰かといないと不安だったり寂しかったりするくせに、一緒にいる人から何か相談されると普通に「頑張れよ」って突き放しちゃったりするっていう……ホント俺、そういうところあるよなって2人の人に対する姿を見てると痛感しますね。きっと2人ともそう思ってるんじゃないの?
MASATO:いやいやいや……(笑)。たしかに僕にはない感性の持ち主ですけど、それはやっぱりUさんの強みじゃないですか。だからこそ、ないものねだりでUさんに憧れている部分も、逆にUさんを反面教師にしている部分もたくさんあるわけですけど。でも、それがいい意味でバランスになってるっていうか。昔はチームとして感性や価値観が似ていないとダメなのかなって思っていた時期もあるんですけど、最近は違っていていいんだなって。繊細さも大胆さもお互いが補填し合える、それができるのがいいチームだという気がするんですよね。
違うからこそ、新たに生まれるものもあるでしょうし。
MASATO:僕はそう思います。だからすごく救われていますし、僕もどこかで救えていたらいいなって。
REI:ホントその通りですね。この間、アンケートに答える機会があったんですけど……。
U:あったねぇ。メンバーの良さや魅力について書くっていう。
REI:そのときに改めてTHE BEAT GARDENって、持っているものといないもの、得意不得意も、個性もそれぞれに違っていて、お互いに補い合いながら活動してきたんだなって思ったんですよ。この3人でひとつなんだなってつくづく感じて。
U:と言うわりに、REIが書いてた答え、めちゃくちゃ短かったですけどね。僕とMASATOは100文字くらい書いたんですよ?でもREIは8文字くらい(一同爆笑)。しかも散々、俺らにイジられたのに、それをこの場で語れる勇気!
REI:いや、あれはたくさん考えたうえでのものですから。締切の日までずっと朝から晩まで考え続けて、厳選に厳選を重ねた結果の8文字なんです(←真剣)。
MASATO:やっぱりREIは超おもろいな(笑)。
U:こういうところも僕らにはない感性なんですよ。面白いじゃないですか、こういう人がチームにいるって。3人それぞれ、そうなんだろうなって思いますよね。
お互いの違いを面白がれるってすごくいい関係。
U:面白がってますね、めちゃくちゃ。なかでもREIは際立ってますけど(笑)。

今だからこそ踏み締めることができるステージ、本当に足跡が残るくらいしっかりと踏み込みたい(MASATO)

ところで“君が好き”ときたら、特にTHE BEAT GARDENファンであれば真っ先に思い浮かぶのが「花火」だと思うんですよ。でも言葉は同じでもきっと意味は違いますよね。どういう気持ちでこの言葉を使われたのか、教えてもらえますか。
U:「花火」の“君が好き”は、主人公から見た“君”の好きな部分がそれまでにもうたくさんあって、ずっと彼のなかで育っていた好きだという気持ちが出たものなんですよ。でも「present」の“君が好き”は、このとき気づいたものなんです。「花火」の“好き”は言ってしまえば告白で相手に向かうものだけど、「present」の“好き”は自分の気持ちと向き合ったことで初めて見つけたものというか。こんなに苦しくなるのは初めてだな、ってことはこの人のことが好きなのか、みたいな。
ああ、全然違いますね。
U:そうなんです。書きながら僕も「花火」はよぎったんですけどね。だけど同じ言葉でも違うものだから、迷わずに書こうと思って。
一瞬、躊躇したりも?
U:しました。ライブのMCとか取材のことも考えましたし(笑)。僕としては、この“君が好き”っていうのはこれまでにない感覚で、だから「初めて“君が好き”って精一杯言いました」ってMCでも取材でも言いたいんです。ただ、実際のところは思いっきり“君が好き”で始まる曲があるわけで、どうしたらいいかなって。でも、やっぱりドラマにとことん寄り添うことがそのときの僕の正解だったから、そこは素直に書こうと思って。結果、書いてよかったです。
最後にこのフレーズが来るのもすごく効いていますよね。では、歌についてはいかがですか。たしかに王道でストレートなラブソングですけど、3人の声とそれぞれの歌い方によって織りなされる絶妙な世界観はやっぱりTHE BEAT GARDENならではのものだし、THE BEAT GARDENでなければ、こういう染み込み方はしないだろうなとも思うんですよ。先ほどUさんが「王道を鳴らせる存在になりたい」とおっしゃっていましたが、この曲に対して歌うときに込めた気持ち、意識していたことなども伺ってみたいです。
REI:今回は歌詞の言葉をより深く自分のなかに落とし込みたいなっていう気持ちがあって。“好き”でもいろんな角度があるとか、そういったところで歌を歌うというのは前提にしつつ、言葉を発する力というものにも、もっと意識的に取り組みたいなと思いながらレコーディングしてましたね。
バラードだけど、全体的としてあまり声を張って歌い上げずに、あえて平熱な感じで歌われているのも印象的でした。
U:まさにです。さっき言った“君が好き”の話にも通ずるんですけど、自分でも気づいていないところから始まる歌なので、力強さよりも、どこか不安を抱えたまま歌ってほしいってみんなには伝えていて。
MASATO:この曲の場合、歌い手の熱量や感情に共感されてはいけないと思うんですよ。なので登場人物たちの言葉としてそのまま発せられるように、とにかくフラットな感覚で、なおかつUさんの言う“どこか不安な気持ち”をイメージしながら歌っていました。そのうえでメッセージは薄まらないように、ちゃんと一語一語が立つように、ロー(低音)の成分に気をつけつつ、ディレクションしてもらったっていう。
フラットに徹しているからでしょうね、MASATOさんが前半を担当しているDメロのファルセットではなおのことグッときちゃって。
MASATO:そうなんですよ、あそこは唯一、感情を解放できる部分なんです。でも、それは1曲通して聴いたときに初めて活きる、響くところだとも思っていて。昨日、和歌山のTGC(〈oomiya presents TGC WAKAYAMA 2024 by TOKYO GIRLS COLLECTION〉)で初めて生でのフル歌唱をしたんですけど、このパートで感情が解放されたことにハッとしてくれた人もきっといたよねって、そういう手応えがすごく感じられたんですよね。音源がリリースされることで、やっとフルで聴いてもらえるのが嬉しくて。
Uさんはいかがですか。
U:技術的なところでちょっと細かく言うと、Aメロはちょっとハネて歌ってるんです。周りに対して冷めてはいるけど、でも何かを見つけたくてドキドキしてる感じを出したかったので。で、そこからBメロの頭に入っていくときに……僕はこれが肝だと思っているんですけど、ここで初めて愛に気づくことで、逆に安心して心拍数が治まっていくような、フワーッと落ち着いていく感じを表現しようと思ったんですよね。普通は恋に気づくとドキドキしますけど、この歌では愛を見つけたことで初めて体験する安心感をしっかり表現したくて。最初の段階からメロディにもその感じはあったので、ちゃんとメロディを汲んで逆にハネないように歌いました。
本当に細かく意識されているんですね。では、サビは?
U:サビはそのミックスというか、前半はBメロを引き継いでいるけど、例えば1番なら“戸惑って怖くなって/すれ違うほど積もっていく”、2番だったら“拗ねたって裏返して/離れるほど結ばれて”の、ネガティブな気持ちを歌っている部分だけ、わざとハネ気味に歌ってみたり。そういう細かいディティールはかなり意識していましたね。気持ちの動きを丁寧に歌声で届けられるように。
ちなみに「present」というタイトルですが、小文字綴りの英語だというところも含めて、なぜこのタイトルにしたのでしょう。
U:小文字なのはかわいいからです、すみません!(笑)ジャケットもそうですけど、ドラマでクレジットが出たときに大文字とかカタカナだと主張が強すぎる気がしたんですよね。あと、“present”には“贈り物”以外にも“今、現在”っていう意味があって、実はサビの頭は全部“今”で始まっているんですけど、相手がくれる“今”自体が贈り物だなっていう気持ちもあったり、そういうのをできるだけ控えめに表したかったっていう。それと、もうひとつ、これは調べていくうちに知ったんですけど、“present”にはスラングで“2人で歩んでいく”っていう意味もあるみたいなんですよ。一緒に歩んでいくこの時間がギフトだから、みたいな意味で。海外にいる友達に聞いたら、そんなに使わないけど、恋人を誰かに紹介するときに「俺のプレゼントなんだ」って言ったりもするよって教えてくれて。意外と愛を含んだ使い方をするんだな、じゃあドラマにもぴったりだなと思ってこのタイトルにしたんです。
MASATO:それは今、初めて聞いたかも。
REI:うん、知らなかったです。
U:でしょ?あんまり語るのもなと思って、ドラマの制作発表会見とかでも言ってなかったんですけど、実はそうなんですよ(笑)。
素敵なエピソードをありがとうございます。それこそ「Start Over」に次ぐ、THE BEAT GARDENの新たな代表曲となる1曲だと思いますし、来たるZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンライブ“good error”への勢いにもさらに弾みをつけてくれそうですね。
U:ライブのセットリストに「present」を入れられるのがすごく楽しみです。ドラマを観て会場に足を運んでくれた人にも、いい意味で衝撃を受けてもらえたら嬉しいですし。
最後に、記念すべき初Zeppに向けての意気込みをお願いします。
REI:Zeppにはプライベートでも何度も足を運んでいるんですよ。毎回刺激をもらいつつ、でも、そこに立てていない自分に悔しさを覚えつつ、みたいな、僕にとってはそういう会場でもあって。だから思い入れはすごくあるんですけど、とはいえ変に固くならず、自分たちができる等身大にプラス、少し視野を広げたエッセンスを取り入れたステージをお届けできたらと思っています。今の自分たちができるクリエイティブはすべて詰め込むので、ぜひ遊びに来てください!
MASATO:上京当初は2年ぐらいでZeppに立てると思っていたんですよ。結果、12年かかったわけですけど、でも振り返って、もし2年で立てていたとしても納得のいくパフォーマンスなんて絶対できなかっただろうなって。今だからこそ踏み締めることができるステージだと思うし、本当に足跡が残るくらいしっかりと踏み込んで、今まで応援してくれた人も、新たに好きになってくれた人も、みんなで一緒に通過できるポイントになったらって思っています。
U:“good error”っていうタイトルもすごくTHE BEAT GARDENらしいですよね。失敗もたくさん繰り返してきたけど、時間をかけて「あれでよかったのかもね」って笑い合ってきたし、それは僕ら3人だけじゃなくて、ファンのみんながそうさせてくれたんですよ。みんなで作り上げてきたTHE BEAT GARDENとしてZeppのステージに立って、この日も今までと変わらずみんなで一緒にライブを作っていきたいです。もちろん楽しみ方は自由だから、一緒に歌わなくてもいいし、周りに合わせる必要もなくて、とにかく一人ひとりが超楽しんでほしいんですよ。僕らもめちゃめちゃ楽しむし楽しませるから、はじめましての人もぜひ来てほしいですし。MASATOが言った通り、本当にやっと立つZeppですけど、これからはたくさんやらせてもらうつもりだから、“やっと立ったZepp”は今回が最初で最後。みんなで“やっと”を爆発させましょう!
取材・本間夕子