最高の一体感とともに駆け抜けた夜、夢へのネクストフェーズを確信したツアーファイナルをレポート!

2023.10.30


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コロナ禍という一寸先さえ見えない闇の中でも自分たちの音楽からけっして手を離さず、前だけを見つめてひたむきに歩んできた約3年半もの日々。心折れそうになる刹那も眠れず思い悩んだ夜も一度ならずとあっただろう。どれだけ世間が不要不急を叫ぼうと、会いたい人たちに会えない時期が続こうと、たゆまぬ研鑽を重ね、1曲1曲を丁寧に磨き上げて、待ってくれているだろう人たちのもとへと届けることを諦めなかった彼ら。今年6月にリリースされた4枚目となるフルアルバム『Bell』はその集大成であり、同時に新しいスタートをも予感させる会心の一作だ。そんな『Bell』を携えて、ついにコロナ禍に課せられていた制限がすべて解除されるなか始まった全国ツアー“THE BEAT GARDEN ONE MAN LIVE TOUR 2023 「Bells.」”。7月から約3ヵ月間でグループ史上最大規模となる全国20公演を回った大充実の旅が、10月20日、東京・Spotify O-EASTにてついにファイナルを迎えた。THE BEAT GARDENを前進させる最大にして最高の原動力であり、彼らが親愛を込めて“Beemer”と呼ぶファンたちと一緒にゴールテープを切ったそのとき、3人と会場にいる全員の目が捉えたものは、着実にまた一歩近づいた大きな夢の背中だったのではないだろうか。

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 10月下旬にしてなんと今年140日目の夏日となったこの日だが、場内の熱気は開演前から軽くそれを超えるほど。THE BEAT GARDENにとっては初のSpotify O-EASTワンマン公演となることも期待値をいっそう高めているのだろう。立錐の余地もない1階のスタンディングフロアはもちろん、2階の関係者エリアにも大勢の人が詰めかけて、彼らの登場を今か今かと待ち侘びながら黒幕に覆われたステージを一心に見つめている。しかも、一人ひとりがもれなくワクワクと心の底から嬉しそうな表情を浮かべているのがなんとも胸熱。長きに渡った旅のゴールをみんなでともに祝し合おうという晴れやかさに満たされた空気はこのうえなく心地よい。

 開演時刻の19時きっかりにBGMがMY CHEMICAL ROMANCEの「Welcome To the Black Parade」に切り替わるや、客席いっぱいに手拍子が起こった。そうして場内が暗転すると同時に流麗なオープニングSEが溢れ出し、ゆっくりと開いた幕の向こうに3人が姿を現す。途端にこれまでのどのライブをも凌駕する大歓声に沸き返るSpotify O-EAST。彼らの全身にみなぎった闘志とオーディエンスの歓喜とが混じり合い、1曲目の「High Again」から早くもスパーク。『Bell』に収録されている「High Again」はTHE BEAT GARDENがデビューから自身の音楽スタイルのひとつとして標榜してきたEDR=エレクトリック・ダンス・ロックの最新型とも呼びたい1曲だ。ダイナミックなビートに乗せた不屈のメッセージを体現した全身全霊のパフォーマンスで魅せる彼らにのっけから目を奪われずにいられない。おそらく今ツアーのステージとしてはもっとも広いはずなのに、まるで手狭に思えるくらい大きく育ったその存在感。自由勝手に動いているようで、ブリッジでは揃って一旦ステージ後方に下がり、かと思えば、サビに突入するなりまた一気に前へと飛び出して奔放に歌い跳ねるという、3人の絶妙な呼吸にも舌を巻いた。

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 2曲目の「マリッジソング」は今やライブの鉄板であり、THE BEAT GARDEN流J-POPの王道をゆくアッパー&スウィートな最強のラブソング。“Oh マリッジ”とひとたびUが歌いだせば、オーディエンスのボルテージゲージもたちまちMAXに振り切れる。だが、続く「Don't Think, Feel.」に突入すると甘やかなムードは一転、四つ打ちのビートを効かせたアグレッシブなロックのグルーブに身を委ね、激しく躍動するフロア。しかもイントロの段階でUがいきなりステージを飛び降り、客席最前列の柵から身を乗り出して煽りにかかるのだから平静でいられるわけがない。天性のリズム感で客席をリードするREI、MASATOの艶めいた歌声と表情、3人の一挙手一投足が狂騒にますます拍車をかけてゆく。

「ここから見える頭の数、想像の約3倍です。来てくれてありがとう!」


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 オーディエンスがひしめき合う圧巻の光景を、そう表現して感謝を告げるU。今日が夏日だったことに触れ、「でも、これで夏日はもう終わりらしい。僕らにとってもこのツアーが夏でした」と言葉を続けると、過ぎゆく季節を惜しむように3人は『Bell』からの1曲「夏の三角関係」を披露する。好きな子と親友との仲にヤキモキする主人公の、傍から見ればかわいらしくも、本人にとってはままならない複雑な恋模様を、爽やかかつ洒脱なサウンドに絡めながらポップに昇華させたTHE BEAT GARDENならではのラブソングが、生のハーモニーによっていっそう瑞々しく響いてくるのが興味深い。主旋律を歌うREIにUが声を重ね、MASATOの切なさを秘めつつも伸びやかなボーカリゼーションへと繋いだブリッジから、またUがバトンを受け取ってサビへとなだれ込む、軽やかな歌声のリレーにも主人公の心情がありありと浮かんでキュッと胸を締めつけられてしまいそう。REIがステージ奥、手前にU、MASATOが並んだ、アウトロでの綺麗な三角形のフォーメーションに、恋愛のサンコイチは難しくても、THE BEAT GARDENはやっぱりサンコイチじゃなきゃね、なんてことも思ったりする。


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 wacciの橋口洋平による提供曲として『Bell』のなかでも大いに話題を呼んだ「あかり」。別れてからも忘れられない“君”への思慕、その行き場のなさや、それでも想えば心の奥にそっと灯る温かさを歌唱だけで見事に表現し切ったその力量に感服する一方で、東京公演だけの日替わり曲(今ツアーでは各会場でそれぞれ1曲、どの公演ともかぶらない楽曲が日替わり曲としてセットリストに組み込まれてきた)に選ばれた「Satisfaction」ではレーザー光線も激しく飛び交うステージでオーディエンスをがっつり巻き込み、会場を熱狂のダンスホールへと変えてゆく痛快なまでの剛腕ぶりにも目をみはる。ぶち上がったテンションをゆるりとなだめるようにして披露されるREIの流麗なるキーボードプレイ。そうしてドラマティックに展開するその音色が、不意に聴き覚えのあるイントロのメロディを奏で始めた瞬間のカタルシスといったら! そしてSpotify O-EASTを柔らかく包み込んだのは「初めて恋をするように」、3人の愛情深くも凛とした歌声には瞬きも忘れて聴き入るしかなかった。


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 日常に疲れた心のささくれに共感し、やさしく取り除いてくれる「あのね」。「こうして会いにきてくれるあなたのことだけを想って書きました」と告げてここにいるオーディエンス一人ひとりに手渡すように歌われた「ラブレター」。思うようにいかない現実に押し潰されそうになりながらも夢に向かっていく覚悟を誓う「本当の声で」。なぜこれほどにも、と呆れるくらいに飾らない等身大な歌たちが、だからこそこんなにも深く胸の奥まで刺さる。結成11年、メジャーデビューから7年の月日を重ねてきた今の彼らの音楽にはそれだけの力が備わっている。彼らの進んできた道のりが平坦でもまっすぐでもなかったからこそ鍛えられた心の筋力が説得力となって歌に宿っているのだ、きっと。

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 「見ていただいてわかるように浮き足立っております」と冗談めかすUに、前日は眠れないながらも例年のツアーファイナルよりはリラックスしていたというMASATO。REIは逆に11時間も爆睡したと、おのおのに語っては今日をどれだけ楽しみにしてきたか、わちゃわちゃしたやり取りを交えつつ、MCコーナーではしっかりと言葉でも伝えてくれる3人。自身最長となる20公演を無事に回れたことへの安堵、『Bell』というアルバムを持ってツアーを回れる喜び、音源ならサブスクでいくらでも聴ける便利な時代にあえて交通機関を使ってわざわざ直接会いにきてくれることへの感謝、そうした想いの一つひとつを。


 この日、語られたことのなかにはSpotify O-EASTにまつわる思い出もあった。グループ結成直後、出会いの地となった大阪から揃って上京してきた3人は片っ端からライブハウスに出演交渉、しかも直接訪ねるという力技でこの会場の事務所にも足を運んだのだそう。さすがに即出演とはならなかったものの、担当してくれた方がそんな彼らを面白がってくれて深夜のイベントのサブステージに出させてくれたのだという。当然ながら当時は彼らを観に来た人はほとんどいなかったと振り返りつつ、だから今日、このメインステージに立てたこと、ここで出会えたことが本当に嬉しいと口にしながら、込み上げるものがあったのか少し声を詰まらせるU。「俺らは遠回りばっかりで、でも、その遠回りのどこかであなたに出会えたんだと信じています。俺らを見つけてくれて、出会ってくれて本当にありがとう」、そう言葉を紡ぐUの隣では万感の笑顔で客席を見つめるREIと、たまらず目頭を押さえるMASATOがいる。そうして「友達の歌を聴いてください」とタイトルコールされた「エピソード」。淡々と、けれど切実に募る彼らのこれまでと、これからにこちらの涙腺もまたあえなく決壊した。


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 気づけばライブは終盤戦だが、もちろん、しんみりと終わらせるTHE BEAT GARDENではない。「東京、いくぞ! 一緒に歌ってください」とUが呼びかけて突入した「ぬくもり」では2番のサビを客席に任せる一幕も。この日の冒頭からハンドクラップにシンガロングにとメンバーと一緒になってライブを作り上げてきたオーディエンスへのリスペクトと信頼が一体感を底上げし、とてつもない熱量の歌声が瞬く間に場内に渦巻く。ドラマ『六本木クラス』の挿入歌として彼らの存在を一躍、世間に知らしめたカバー曲にして今やTHE BEAT GARDENを代表する1曲となった「Start Over」に導かれて天井知らずにのぼり詰める昂揚。最高潮のテンションで本編ラストを飾ったのは彼らのデビュー曲「Never End」だった。「本当の声で」に続いて三たびフロアに飛び降りたUにやんやの喝采が注ぐ。ステージではREIとMASATOが笑顔を炸裂させては向かい合い、歌声を重ね合ってUの不在を埋め合わせるかのごとく。ステージとフロア、メンバーとオーディエンス、ここにあるすべてが混ざり合って奏でられる“Never Ending Story”のなんと強靭で美しいことか。そうだ、“この道は続いていく”。これほどはっきりと確信できた夜もなかった。

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 アンコールは3曲だった。「アンコールありがとう!」と曲中、大きな声で叫ぶUに気を取られたか、まんまと「花火」の2番の歌い出しをミスしてしまったREIだが、「しまった!」と言いたげな苦笑いを一瞬浮かべながらもまるで動じるそぶりもなく堂々歌を続けるその姿にも、そんなREIを茶化すように「え?」と言いたげなびっくり顔を作るUにもオーディエンスは大喜び。この温かな空気感が揺るぎない。その後、披露された『Bell』のリードトラックにして、今ツアーを通じてもっとも育てられてきた楽曲である「心音」はこの夜、新たなアンセムとしてついにひとつの完成形を成したと言ってもいいだろう。“逢いたいを奪われても/失くしたもので溢れても/忘れられなかった”希望が朗々と鳴り渡って止まない。オーラス、“THE BEAT GARDEN ONE MAN LIVE TOUR 2023 「Bells.」”を締めくくったのは「Sky Drive」だ。ついにフロアに降り立ってオーディエンスを驚喜させるMASATO、UとREIは息もぴったりに頭を振りながら歌声を轟かせては、客席とともに最後の一音まで情熱全開で駆け抜けた。

 ライブが終演したその場で、2024年4月13日にZepp DiverCity(TOKYO)にてワンマンライブを開催するという嬉しいニュースが彼らの口から直接、オーディエンスに伝えられた。

「ここまでがあったから叶う1日です。あなたがいてくれたから叶う1日です。絶対来てください!」

 ガッチリ肩を組み、深く一礼する3人にオーディエンスも大きな拍手と歓声で応える。実直に一歩一歩を積み重ねてきたTHE BEAT GARDENがいよいよ踏み出すネクストフェーズ。追いかけない理由などあるわけがない。


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文・本間夕子
Photo ・Yuto Fukada





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THE BEAT GARDEN one man live at Zepp DiverCityTOKYO「good error」(グッドエラー)

【日程】
2024年4月13日(土) Zepp DiverCityTOKYO
OPEN 17:00 / START 18:00

■チケット料金
1F指定席 ¥6,000(税込)
2F指定席 ¥6,000(税込)
※お1人様最大2枚まで (複数席種の申込不可)
※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可
※営利目的の転売禁止。転売チケットでの入場不可。

【チケット受付について】
FC「ウラ庭」会員限定最速先行受付 (抽選制)
2023年10月20日(金) 21:00〜11月6日(月) 18:00

■お申し込み対象
THE BEAT GARDENオフィシャルファンクラブ「ウラ庭」会員様(電子チケット対応端末をお持ちの方)
※入会手続き/継続手続き完了後、すぐにチケットの受付にお申込みいただけます。
※お申し込み者ご本人様・同行者様ともに、それぞれ1台ずつスマートフォンが必要となります。
※同行者様は非会員でも可となります。

■お申し込み方法
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▼THE BEAT GARDENオフィシャルファンクラブ「ウラ庭」サイト
https://uraniwa.thebeatgarden.com/


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